第1回アレルギー対応スイーツコンテスト、一般の部で優勝された金田英継さんにお話を伺いました。
宝石のように美しくておいしいチョコバナナのケーキで優勝!
審査会場からは、「ケーキ屋さんに並んでほしい!」という声がたくさん聞こえたほどでした。
金田さんは、東京製菓学校 洋菓子科の専任教師としてお仕事をされています。
歴代受賞者ということもあり、今年は学生さんからアレルギー対応スイーツコンテストの応募に関する相談が多いとか!
パティシエの卵たちに、製菓を「教える」立場として関わられている金田さん。
日々、どのようなことを考えながらお仕事をされているのでしょうか?
アレルギー対応スイーツコンテストに関心を寄せる学生が急増!
ー金田さん、どうぞよろしくお願いいたします!コンテストに出場されてから大きく変わったことなどありましたか?
大きく変わったことはありませんが、学生からアレルギー対応スイーツコンテストの相談をよく受けるようになりました。
昨年はコロナの影響で、学校が始まったのが6月。コンテストの応募締め切りが6月末でしたよね。
学校が始まってから締め切りまでがすぐだったので、コンテストの存在を知らない学生が多かったかもしれません。
今年は授業は4月からありましたし、コンテストのチラシも配布できたからか、興味のある子が多いですね。
僕が知っているだけでも、「やりたいです!」っていう子が10人ぐらいいるのかな…。
ーそうなんですね!学生の皆さん、アレルギー対応スイーツコンテストのどこが気になって「やりたい」と思うのでしょうか?
動機は聞いていませんが、僕自身コンテストに出場して「意外にアレルギーの人って多いんだ」ということを感じました。
他の出場者からは、「身内や自分自身がアレルギーで」っていうお声も聞いたかな。
もしかしたら学生自身も、そういった経験があるのかなあって思います。
あとは単純に、今の子たちはそういうことに関心が高いのかもしれません。
授業で取り入れてもいいぐらい。「アレルギー対応スイーツ」は関心が高まっている分野
ー1回目もそうでしたけど、学生部門は全体的にレベルが高いですよね。
いや〜、本当に高いですよね。
なんか、こう…なんだろう…。プロを目指している子たちが多いからか、熱量もそうだし。プレゼンを聞いていても「学生、熱いなぁ」って思いましたね。
ー学生さん達からは、どんな相談を受けるんですか?
たとえば、「スポンジを焼きたいんですけど、うまく焼けないんです」とか。
ふだんは、卵・乳・小麦を使って授業をやっているので。アレルギー対応のお菓子にはほとんど触れる機会がないと思います。
そうすると、どこから手をつけていいのかまったくわからないっていう状態になると思うんですね。
なので、「どういうお菓子にしたらよさそうですか?」とか「タルトがいいですか?」とか、いろんな質問がきます。
ーそうなんですね!生徒さんが気軽に先生に相談できる環境っていいですね!
こんなに学生さんたちの関心が高いのであれば、授業で取り入れてもいいレベルなんじゃないかなって思います。
ーわー!そうなったら嬉しいです!
お菓子作りはもちろん、人格的にも優れている人材を育てたい
ー日々、どんなことを考えて学生さんと関わられているのでしょうか?
…それは、難しくてですね…。
学生たちの大半が、2年間 当校で勉強したら社会に初めて出ることになります。
なので、お菓子作りはもちろん大事ですが、社会人として心構えなんかも伝えていきたいと感じていますね。
「お菓子を作れる人は、人格的にも優れている人」だよねというのが、うちの、東京製菓学校の教育方針でもありますし。
「人間として社会人として、恥ずかしくないように」というような感覚で、お菓子作りと並行して人間的にも成長できるように指導しています。
ーそうだったんですね。
卒業生の越湖さんにインタビューした時、「社会に出て 1番感じていることはなんですか?」って質問をしました。
そうしたら、「接客でケーキの味が変わっちゃうから、お菓子が作れるだけじゃダメなんだって。一番感じています」って、お話をされていました。
さすが東京製菓さんの卒業生といいますか…。貴校がそのような方針で授業をされているなんて、初めて知りました。
学校にいる時って、なかなか気がつかないと思うんです。
やっぱり製菓学校なので、お菓子の作り方とかお菓子の勉強をやるっていうのは理解しやすいと思います。
でも、社会に出ると「実際はそこじゃないよね」って、みんな気づくと思うので。そういった部分もしっかりやりつつ、もちろんお菓子作りもやるということですね。
ー金田さんが最初に「…難しくてですね…」って言った意味が分かりました。なかなかやっぱり…。社会に出てみないと、実感できないことってありますよね。
専門学校にいる時は、まだ大学1、2年生ぐらいの子たちじゃないですか。その子たちが厳しい職人の世界に飛び込んでいくところで、心構えというか、心の準備がないとやっぱり潰れちゃうと思うんですね。
「この業界はブラックで〜」とかって学生を脅すつもりはありませんが。汗
しっかりその現実を教えて、「しっかり心構えをした上で社会に出て行きなさいよ」っていうのは、意識しています。
製菓を伝える立場として感じていること
ー東京製菓さんでは、先生方はクラスの担任もされるのでしょうか?
担任もいますが、クラスを持たない先生もいます。
クラスを持たない先生は、お菓子をメインに教えています。色んなクラスに行って、デモンストレーションや実習をやる役割です。
たとえば、僕があるクラスでショートケーキのデモンストレーションと実習をやるとします。そのクラスの実習が終わったら、また違うクラスへ行ってショートケーキのデモと実習をやる。そんな感じです。
ちなみに、お菓子専門の先生は担任を持ちません。
また、クラスの担任になる先生もいます。
その先生は、1年間ずっと担当したクラスの学生たちと一緒にやっていく先生。お菓子作りの授業では、助手という感じですね。
ーそうなんですね!先生方もなにを担当されるかで、生徒さんへの関わり方が違ってきそうですね。
そうですね、僕は一昨年までは担任をやっていましたが、去年からお菓子専門でクラスを回る役割になりました。
なので、学生たちの前でデモンストレーションでお菓子作りを見せるので…。
言葉の重みというか、伝えることの重要性っていうのは今まで以上に感じています。
ーそうですよね…。先生の言葉って、学生さんたちへの影響が大きいですよね。
「アレルギー対応のお菓子もできる」パティシエの方が、将来の広がりは絶対にある
ーコンテストの応募を迷っている方に、一言メッセージをいただけますか。一般の方でも学生さんに向けてでも。
世の中的にも「アレルギー対応スイーツ」って、関心を向ける人が多くなってきている分野だと思います。
僕もこの間、つい1週間前に、自分の子供がくるみアレルギーっていうのが判明して。
そういう人が身近にいるし、いろんなところで関心が高まっていると思うんですね。
だから、普通のお菓子だけじゃなくて「アレルギー対応のお菓子もできる」パティシエの方が、これからいろいろ道が開けるんじゃないかと思っています。
僕たちは職人なので、「知らないよりは知っている」「できないよりはできる」の方が、将来の広がりは絶対あると思いますし、ぜひトライしてもらいたい分野です。
新しい発見もできるし、使ったことがない材料にも出会えるし、作ったことがない作り方もできるし。
「アレルギー対応スイーツ」は1つのジャンルとして確立されていると思うので、突き詰める価値は充分あると感じています。
ーありがとうございました!
金田先生がお勤めの東京製菓学校について
〒169-0075
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