石川 一平(いしかわ いっぺい)さん
【第4回コンテスト 学生の部 優勝】
東京製菓学校 2年生の石川一平さん。
『Route Royale(ルートロワイヤル・フランス語で「王道」)』の名にふさわしい、宝石のような美味しいスイーツで、学生の部 優勝を飾りました。
パティシエになるため宮城県から上京して、現在は一人暮らし。優勝賞金は地元の復興のために寄付をするそうです。
卒業後は、東京にあるパティスリー(ケーキ屋さん)に就職することも決まっている石川さん。
今回が初めてのコンテスト出場だったそうですが、就職してからも「いろいろなコンテストに挑戦したい」と力強くお話されていました。
そんな石川さんに、パティシエを目指したきっかけや今回のレシピ開発にあたっての思い、これからの展望をお聞きしました。
パティシエは幸せを届ける仕事
ー石川さん、改めまして優勝おめでとうございます!
石川さんは、子供の頃からパティシエになろうと思われていたのですか?
いいえ。
実家はお菓子屋さんではありますが、学生時代はパティシエになろうとはあんまり思っていなくて、大学進学も視野に入れていました。
でも、ちょうど僕が高校3年生になったばかり。最初の緊急事態宣言が出た時に、たまたまテレビであるお店のシェフ・パティシエがお話されているのを聞いたんです。
その方が「パティシエは幸せを届ける仕事」ってお話されていて、その言葉が僕にとっては大きなきっかけになりました。
確かにケーキって、幸せな時にしか食べませんよね。お誕生日とかウェディングとか。
そんなお話を聞いて、「幸せを届ける仕事って素敵だな。僕も挑戦してみたいな。」と思って、パティシエになることを決めました。
ーそうだったんですね。ケーキって、目の前の人を幸せな気持ちにする力がありますよね!
地元も含めいろんな製菓学校があるなかで、どうして東京製菓さんへ進学したのでしょうか?
父が東京製菓学校の卒業生ということもありましたし、いろいろな学校を見てみたら、東京製菓学校は実習量が圧倒的に多かったんです。
やるからには技術を磨きたいと考えていたので、実習量が多い東京製菓学校を選びました。
自分の将来のためにも、アレルギー対応スイーツに挑戦したい
ー今回、どうしてアレルギー対応スイーツコンテストに応募されたのでしょうか?
東京製菓学校の先生で、過去に優勝されている方がいたので、僕も出てみたいなと思っていました。
また、アレルギーをお持ちの方も増えていると思うので、アレルギー対応スイーツ作りに挑戦することは、僕自身の将来のためにもなるかなと思いました。
ーそうなんですね。石川さんご自身も、クルミが食べられないんでしたっけ?
そうですね。
クルミと、ピーカンナッツがだめです。
そうなるとやっぱり、お菓子の勉強をしにパティスリーに行っても、クルミが入っているせいで食べられず悔しい気持ちになることがありますね。
僕はクルミなので時々食べられないぐらいですが、卵や乳や小麦が食べられない方は、もっと悔しい思いをされていると思います。
作るからにはパティスリーで売られているようなお菓子を
ー石川さんの作品『Route Royale(ルートロワイヤル)』は、フランス語で「王道」という意味ですが、どのような考えでこのスイーツを作ったのでしょうか?
やっぱり作るからには、お店で売られているようなお菓子を作りたいという想いがありました。
まずはじめに、あの形のムースにすることは決まったのですが、その後しばらくは上手くいかないことばかりでした。
いろいろ試してベリーを使うレシピに行き着きましたが、実は応募期限ギリギリまで、どんな組み合わせでいくか決まらなかったんです。
ーそうだったんですね!
ベリーを採用するまでには、どんなフルーツで試されたのでしょうか?
マンゴーや柑橘系のフルーツで試しましたね。
他には、豆乳ホイップを使わない配合を考えたり、ゼラチンを使わないで試したりもしました。
僕はムースを作りたかったので、食感を良くするために豆乳ホイップを使ってギリギリの固さに仕上げたかったんです。
ただ、豆乳ホイップを使うと豆乳臭さが残ってしまって…。豆乳ホイップと相性が良い組み合わせを探した結果、ベリーにたどり着きました。
ームースの食感。難しそうです…。
Route Royale(ルートロワイヤル) は、全部で5種類のパーツから作られていますよね。
上〜下まで一気にすくって食べた時に、もっとも美味しさを感じる組み合わせを探されたということですよね。
はい。ちょっとでも配合が違うと食感が悪くなってしまうので、何度も試作をしました。
あとは、ふだん使っている卵・乳・小麦が使えないところは、やっぱり難しかったです。
スポンジのふわふわ感なんかもぜんぜん違って、初めて学んだことがたくさんありました。
ーそうだったんですね。
Route Royale(ルートロワイヤル)、とても美味しかったです!
八芳園さんでも商品化されるとのことで、とても楽しみにしています。
「誰よりも試作した」自信を胸に
ー決勝審査の会場は、ふだん石川さんが授業を受けている場所でもありますが、緊張ってされました?
緊張しないと思っていましたが、いざ本番となると…しましたね。照
特に、プレゼンテーションの前はすごい緊張しました。
ーそうでしたか。堂々とされていたので、緊張していないのかなと思いました。
「誰よりも試作をした」っていう自信はありましたが、やっぱり結果発表の前はちょっと自信がなくなるというか…ドキドキでしたね。
ー「誰よりも試作をした」って、ご自身でそう思えるぐらい試作をしたなんて…、相当な回数されたんですね!
毎年、受賞された方々をインタビューさせていただいていますが、やはり優勝される方は違います…。
ありがとうございます。
僕自身、初めてのコンテストだったので、それで優勝をいただけたっていうことはすごく嬉しかったです。
これからもいろんなコンテストに出たいと思っていますが、今回の経験は一生忘れないと思います。
アレルギーのかたにも美味しいケーキを食べてほしい
ー最後にアレルギーのお子さんを持つご家族に、一言メッセージをいただけますか。
今は、小麦や卵を使っていないお菓子はまだまだ少ないですが、アレルギーをお持ちのかたにも美味しいケーキを食べていただきたいと思っています。
僕も自分のお店を持つようになったら、必ずアレルギー対応のケーキは作りたいので、その時はぜひ食べてみてください。
ーすごく楽しみにしています!ありがとうございました!
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石川さんの作品『Route Royale(ルートロワイヤル)』は、2023年の2月ごろを目安に八芳園のカフェにて提供予定です。
詳細が決まりましたら、当コンテストのホームページ・SNS等でご案内いたします。