郭 力維(かく りょくい)さん
【第3回コンテスト 学生の部 準優勝】
日本菓子専門学校ハイテクニカル科に通学されている郭 力維さん。
もともと台湾の洋菓子店にお勤めでしたが、製菓を学ぶため日本にいらしたそうです。
まるでバタークリームを食べているかのようなしっかりとした味わいの『ガトー マルジョレーヌ オ パタトゥ ドゥース』を作り、学生部門 準優勝に輝きました。
『ガトー マルジョレーヌ オ パタトゥ ドゥース』は、伝統的なフランス菓子「マジョレーヌ」をモデルにしています。
独特な食感の生地とクリームのバランスが絶妙な「マジョレーヌ」。
卵・乳・小麦不使用で作るのは特に大変なお菓子ですが、一体どのようにして再現されたのでしょうか?
製菓学校の授業で、食べずにケーキの断面を見ていた友人
ーどうぞよろしくお願いいたします!
郭さんはご出身が台湾とのことですが、日本の製菓を学ぼうと思われたきっかけはなんだったのでしょうか?
台湾で働いていた洋菓子店の、オーナーがきっかけです。
オーナーも日本で修行したことがあって、「日本のお菓子は味も美味しいし、技術のレベルも高いよ」と教えていただきました。
それで僕自身も興味を持ち始めて、3年前に日本に来ました。
今は日本菓子専門学校で学びながら、洋菓子店で働いています。
ーそうだったんですね。
アレルギー対応スイーツコンテストに応募されたのはどうしてでしょうか?
製菓学校1年目の授業で「市場調査」というものがあって、一緒に調査をした友人が乳アレルギーだったんです。
もちろん、ほとんどの洋菓子を食べることができないので、彼の調査方法は 購入した商品を半分にカットして断面を見るというものでした。
結局彼は和菓子科に進みましたが、そんな彼を見て「アレルギーって大変だな」と感じましたし、「いつかアレルギー対応のお菓子が作れたらいいな」とも思いました。
クリームと生地のバランスが絶妙な「マジョレーヌ」、再現のポイントは「お芋」
ー郭さんがお作りになられた『ガトー マルジョレーヌ オ パタトゥ ドゥース』、試食してすごいびっくりしました!
本当にバター入りのケーキを食べているかのようでした!
どうしてあのケーキを作ろうと思われたのでしょうか?
伝統的なフランス菓子「マジョレーヌ」を、どうしても再現したかったんです。
いろんなお菓子を食べてきましたが、僕が好きなのは「スポンジとクリーム」のシンプルな作りのフランス菓子だなと感じています。
さらに断面がきれいに見える長方形のお菓子が好きです。
アレルギーがある皆さんにも美味しく食べていただけたら嬉しいなと思って、このお菓子にしました。
ー卵・乳・小麦不使用で、あれだけしっかりした味・食感のケーキを食べたのは初めてでした。
作る過程で、大変だったことはありましたか?
普段使っている材料が使えないので、もう、とても大変でした。
特に大変だったのは卵の代わりです。
乳製品と小麦粉はまだ代用できるものがありますが、卵のようにあれだけたくさんの性質を持った材料って、本当にないんです。
「乳化性」「凝固性」「接着性」「起泡性」「ガム質」…。
卵の持つ「ガム質」の感じを出すために、地元の台湾でも良く使われるサツマイモと里芋を使いました。
ーあのバターっぽい感じは、お芋によるものだったんですね。
それで『ガトー マルジョレーヌ オ パタトゥ ドゥース』という名前をつけたんですね。「パタトゥ ドゥース」はフランス語で「甘い芋」という意味ですよね。
はい。
それ以外にも、マジョレーヌを再現するためにいろいろ試しました。
特にスポンジ部分は、粉の配合を変えて何回も何回も作りました。
何回も何回も練習して、失敗の可能性を潰して挑んだ決勝審査
ー決勝審査はいかがでしたか?
コンテストに出たのは初めてで、本当に緊張しました。
ーそうだったんですね!まったくそんなふうには見えませんでした。
本番で失敗したら大変なので、決勝審査当日まで何回も何回も練習して、一つずつ失敗の可能性を潰して挑みました。
2位とわかった時には、本当に嬉しかったです。
食べることを楽しんでほしいし、何かお力になれたら!
ー最後に、アレルギーのお子さんを持つお子さんとそのご家族にメッセージをいただけますか?
僕も友人を見てきて、本当に食べられないものも多いかと思いますが、ぜひ食べることを楽しんでほしいと感じています。
僕自身はこれから日本のお菓子屋さんに就職して、さらに力をつけていきたいと考えています。
またこういったお菓子も作りたいと感じているので、何かお力になれたら嬉しいです!
ーありがとうございました!