「とにかく美味しい」へのこだわり。本当に美味しいアレルギー対応スイーツができるまで

小林 富裕(こばやし とみひろ)さん
【第3回コンテスト  一般の部 優勝】

東京製菓学校にて講師を勤める、小林 富裕(こばやし とみひろ)さん。

ハイレベルな第3回アレルギー対応スイーツコンテスト一般の部で、みごと優勝されました。

小林さんの作品『エデン』は、一口食べて「美味しいっ!」以外の言葉を失うほど、本当に美味しいスイーツ。

そんな素敵なスイーツを作られた小林さんですが、決勝審査では「他の出場者の皆さまも、本当にいろいろ試行錯誤されたと思います」という言葉を何度も口にされていました。

お話を伺ってみると、小林さんご自身も「とにかく美味しいものをご提供したい」一心で、何度も何度も試作を重ねたそうです。

小林さんのお菓子作りに対する思いと、優勝作品『エデン』開発の裏側をインタビューしました。

 

アレルギー対応スイーツに関心を持つ学生さんが増えている

ー小林さん、どうぞよろしくお願いいたします。
コンテストにご応募された理由を教えていただけますか?

ありがとうございます。

僕は東京製菓学校で講師をしていますが、「アレルギー対応スイーツに関心がある学生が増えている」のが応募理由の一つです。

 

ー学生さんがですか?

そうですね。年々増えています。

「アレルギー対応の授業はやっていますか?」とか「卵・乳・小麦を使わないスポンジはどうやって作るんですか?」とか…。

授業ではやらないにしても、「将来そういうケーキを作りたいです」という学生さんも増えてきています。

そういう背景から「アレルギー対応スイーツコンテストに、いつか応募させていただきたい」と思っていました。

 

一番は「美味しさ」。
自分が「美味しい」と思うものを作ろう。

ーそうだったんですね!
決勝審査でいただいたケーキ、思わず叫んでしまうほど美味しかったです!

ありがとうございます。

出場を決めた時に、まずは「美味しいものを作らねば」っていう思いがありました。

「アレルギー対応」って聞くと、なんとなく味が落ちちゃうイメージがあったんです。だからこそ「美味しく作るにはどうしたらいいのか」、何度も何度も考えました。

 

ー評価基準に「再現性」もあって、特にプロの方は味や見た目をとろうか、再現性をとろうか迷われることが多いのですが…。

小林さんはプレゼンで、「美味しいものを作りました!」って言い切っていましたよね。

はい。とはいえやっぱり、再現性については迷いましたね。

最初は28品目不使用にしようかとか、すごい考えましたが…。

やっぱり「自分が美味しいと思うものを作りたい」っていうのが大きかったです。

もし今度チャレンジするとしたら、その時は28品目不使用でやってみてもいいかもしれません。

 

本当に難しい。
だけど、自分の中の「お菓子」のイメージをすべて入れたかった。

ーどうしてあの形、あの味にしたのでしょうか?

自分の中の「お菓子」の構成をぜんぶ入れたかったんです。

ちゃんとセンターがあって、ムースがあって、スポンジのふわふわ食感や、パリパリした食感…。

あと、上にはちょっとクリームを絞って、最後の飾りまでもお菓子として、ちゃんと自分の中の「お菓子」を満たしているケーキを作ろうと思っていました。

 

ーレシピを拝見しましたが、いろんなフルーツが使われていましたよね。

ライチも入っていましたよね。レシピを見なければ気がつきません!

数種類のフルーツを合わせて、味に深みを出しています。

ライチはムースの部分に入れてますね。

センターにはライムなど、なるべく手に入りやすい果物を使って、缶詰も使いましたが…。

どんどん種類が増えていきましたね。
その辺はせめぎ合いでした。

 

手に入りやすい冷凍マンゴーやバナナ、パイナップルの缶詰でセンターを作って、ライチも隠し味でムースの部分に入れて…。

「美味しいもの」を作りたいなって試作しているうちに、果物の種類もどんどんどんどん増えていきましたね。

 

ー凝固剤も、数種類使われていますよね!

そうですね。

作っていくと何か壁にぶち当たって、それをクリアするとまた新たな壁にぶち当たって…。

本当はゼラチンでまとめたかったのですが全然うまくいかなくて…。

本当はそんなに増やしたくありませんでしたが、色々やった結果増えていきました。

 

ーそうだったんですね。
でもだからこそ、お菓子としてまとまりがある、完成されたものになったんですね。

ありがとうございます。

本当に難しかったですね〜。

ムースを作ったら、ケーキに光沢を出すためのグラサージュが離水しちゃうとか…。

そういうのにたくさん遭遇して「どうしようどうしよう」って考えながら、材料や配合を変えていったらやっとうまくいった、というのを何度も繰り返しました。

 

一番難しかったのはムース。
生クリームの代わりをどうするか。

ーお菓子を教える先生の小林さんでさえ、そんなに試行錯誤を繰り返されているんですね。

完成されたケーキを見ると、そこにあるのが当たり前のように感じますが、卵・乳・小麦不使用というところで苦戦したことはありますか?

生クリームの替わりがめちゃくちゃ大変でした!

ムースの層を作りたかったのですが、通常は生クリームを泡立てたものを使いますよね。

そこで、「どうしよう?」と。

 

豆乳ホイップを使うことも考えましたが、豆乳ホイップを使ったら負けな気がして。笑

豆乳ホイップは生クリームに近い使用感なのですが、どうしても大豆の風味が残ってしまいます。

それが気になって使わないことに決めました。

そうすると「豆乳ホイップを使わずにムースっぽいものを作る」しかなくて、そこが一番大変でしたね。

 

今年レベル高いな!やばいな…。

ー決勝審査の時は、緊張などされましたか?

ありがたいことに自分のホーム(職場)での開催だったので、作る上での緊張はありませんでした。

だけど、周りのレベルが高くて…。
それを見ての緊張はありましたね。

「今年すごいなっ!」みたいな…。汗

 

周りの方々が作っているのをチラチラ見ながら、「みんなすごい工夫されてるな!」という印象を受けました。

食べていないので味まではわかりませんが、レベルがすごい高いなと思っていて…。

出場者の方々の、きれいだったりかわいらしかったりといったお菓子を見て、内心「やばいな…」って…。そればっかり気になっていました。

 

ーそんな風に思われていたなんてまったくわかりませんでしたが、そうだったんですね。笑

私自身、今年は格段にレベルが上がっていて、とてもびっくりしました!

小林さんのスイーツは八芳園さんでも商品化されるということで、とても楽しみにしています!

それも本当に嬉しくて。

先生をやって10年ぐらいになりますが、お店に勤めていた時とは違って、今は自分が考えたお菓子が日の目を見ることがないんですよね。

今回、一般の方にお召し上がりいただけるのはすごい久しぶりで、ぜひご協力したいなと考えています。

 

ーそんな風に思っていただけて、私たちも嬉しいです。

 

アレルギーがあっても美味しいケーキを食べられる時代はすぐそこ。
一緒にがんばっていきましょう!

ー最後に、アレルギーっ子のお父さんお母さんにメッセージをいただけますか。

そうですね。

アレルギーのお子さんでも食べられる美味しいケーキが増えていると感じますし、そんな時代が本当に来ると思います。

僕たちパティシエもそれを目指してがんばっていきますので、「一緒にがんばっていきましょう!」みたいな感じで思っています!

ーとても心強いです!ありがとうございました!

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