Law Chung Hang(ラ チョン ホン)さん
【第3回コンテスト 学生の部 食品産業新聞社賞】
香港でパティシエとして働いていたLawさん。
職場で日本人のパティシエと関わる機会があり、「日本人でも製菓を学びたい」という思いから留学を決意。
今は東京製菓学校に通いながら、レストランのデザート担当としてアルバイトをされています。
香港でも日本でも、アレルギー対応のケーキをお求めのお客様を見かけるそうですが、安全面に配慮してお店としてはフルーツ盛りをお出しするしかできないとか。
そんな場面に遭遇するうちに「スイーツを食べる方はもちろん、製造側も安心してスイーツをお出しできるようになれたらいいな」と考えるようになったそうです。
コンテストでは見た目がとても美しいゆずショコラパフェを作り、食品産業新聞社賞を受賞。
ゆずショコラパフェの制作エピソードと、今後の展望をお伺いいたしました。
スイーツを食べる方はもちろん、製造側も安心してスイーツをお出しできるようになれたらいいな
ーどうぞよろしくお願いいたします!
Lawさんはどのようなきっかけで、コンテストにご応募されたのですか?
日本に来る前は、香港でパティシエをしていました。
今は、日本のレストランでアルバイトをしていますが、香港でも日本でも「乳製品不使用のケーキはありますか?」とか「ナッツ不使用のケーキはありますか?」というお客様がいらっしゃるんですね。
でも、僕が働いているお店は普段からアレルギー対応はしてるわけではないので、ちょっとしたフルーツの盛り合わせをお出しするしかありません。
スイーツをご提供する立場として安全面を考えたら、そうなってしまうのは仕方がないこと。
なので、食べる側も作る側も安心できるようになったらいいなと考えていました。
そんな時に、東京製菓学校でアレルギー対応スイーツコンテストがあるということを知りました。
サクサクふわふわの食感。苦味と酸味。ぜんぶを楽しめるように♩
ーそうだったんですね。
Lawさんの作品『ゆずショコラパフェ』!味もさることながら、見た目もとても美しいですよね!どのような経緯で、あの作品をお出ししたのでしょうか?
アレルギー対応スイーツを作ろうと考えた時、まずはカカオが思い浮かびました。
そのカカオと相性がいいものとしてオレンジが思いつきました。
だけど、なるべくアレルゲン特定原材料28品目は使いたくないとも思いました。
「オレンジに変わるものはなんだろう?」と考えた時に、「ゆずなら日本でもよく使われているし、色もきれい。だからゆずにしよう」と考えたんです。
最終的に、1つのグラスに6つの要素を組み合わせることにしました。
一番下はレモンゼリー、その上にほろ苦いチョコレートムース、サクサクのシュトロイゼル(クッキー)、ふわふわのショコラパウンドケーキ、優しい酸味のゆずはちみつジュレ、最後はキャラメルで作った飴細工を飾ります。
味はもちろん、華やかな見た目、サクサクふわふわの食感、ぜんぶを楽しんでいただけるような構成にしました。
ぜひ、スプーンでひと思いにすくって味わっていただきたいです。
グラスを持って写真を撮って、インスタでも映えるように♩
ー私も試食させていただきましたが、本当にもう、やめられないとまらない、いくらでも食べられちゃうパフェでした!
グルテンフリー協会のフォーブスさんも絶賛されていましたが、プレゼンの時に「インスタ映えも意識して、持ったまま写真を撮れるようにグラススイーツにしました」とお話をされていましたよね。
Lawさんは、普段はどのようにして情報収集をされているのでしょうか?
もともとは、海外で活躍する有名シェフのInstagramやFacebook をチェックすることが多いです。
しかし最近は、バイト先のお客様がTikTokとかInstagramに投稿しているのをよく見かけるようになりました。
だから僕自身も、TikTokとかInstagramで「スイーツ」などで検索をして、今の流行りはなんなのかを見るようにしています。
ーそうなんですね!
ゆずショコラパフェ作る上で、大変だったことはありますか?
ちょっと苦労したのが大豆ホイップです。生クリームと比べて油っぽいんですね。だから、この油っぽさをどう抑えるかっていうのも苦労しました。
あと、やっぱり小麦粉を使えないっていうのは大変でしたね。
小麦粉の代わりに米粉を使用しましたが、グルテンが含まれていないのでふわふわさせにくいですし、小麦粉のものと比べて日持ちもしにくい感じがします。
ゆずショコラパフェに入れた米粉のパウンドケーキは、もう何回も試作をしました。
決勝審査はすごく緊張して、すごく新鮮でした!
ーそうですよね。やっぱり、グルテンがなくふわふわ感を出すのって難しいですよね。
決勝審査はいかがでしたか?
作っているときはあまり緊張しませんでしたが、プレゼンの時は緊張しました。
香港のコンテストだと、作品の近くにそのスイーツの説明が書いてあって、審査員の方々はそれを読んだ上で質問があればする形式なんです。
だけど、今回のコンテストでは、自分のスイーツに関してゼロから、しかも皆さんが見ている前で説明をしなければならない。
だから、すごく緊張しましたし、そしてすごく新鮮でした!
パティシエとして自分ができることをがんばりたい!将来は自分のお店でもアレルギー対応スイーツを
ーそうだったんですね。
Lawさんの「ゆずショコラパフェ」、見た目もさることながら味もプレゼンも、本当に楽しませていただきました!
最後に、アレルギーっ子のご家族にお伝えしたいことはありますか?
そうですね…。
うまく言えませんが、本当に、お疲れさまですと思います。
今回 作ってみて、アレルギー対応の食材って、増えてきたとはいえまだまだ少ないなと思いました。
限られた食材の中で、毎日ごはんを作っていて、本当にすごいないと。僕も力になれたらいいなと感じています。
日本か香港かはちょっとまだ分かりませんが、ゆくゆくは自分のお店を持ちたいなと考えていて。そしたら、アレルギー対応のお菓子も2〜3品はお出したいと思っています。
自分にできることを、パティシエとしてがんばりたいと思っているので、皆さんもがんばってください!
ーすごい!お店楽しみにしています!ありがとうございました!